2016年4月21日木曜日

メリダ近郊に点在する穴場のセノーテ

隕石が作った湧水群


メキシコの東海岸、ユカタン半島にはセノーテと呼ばれる泉があちこちに湧いています。その正確な数は定かではないのですが、3000とも4000とも言われていて、人の家の庭にセノーテがあったり、誰も足を踏み入れない様なジャングルに湧いていたり、とにかくあちこちにセノーテがあります。

なぜそんなにたくさんの泉がユカタン半島にできたのか。
話は6550万年前に遡ります。


その頃の地球は恐竜の時代。どんな景色だったのか想像もつきませんが、ユカタン半島の北側に直径10〜15kmサイズの巨大な隕石が衝突しました。
その衝撃は凄まじく、300mもの津波が地球を飲み込み、恐竜をはじめとした地上の動植物、アンモナイトなどの海の中の生物やプランクトンに至るまで、その時の生物の75%が絶滅したと言われています。


そして現在、その隕石のクレーターの淵に沿いながら、半島に弧を描く様にセノーテは点在しています。
現地の人が言うには、隕石の衝撃で高圧状態になった地中に空洞ができて、その空洞に地下から海水が染み込んでいくうちに泉となったそうです。
石灰質の地層がフィルターの役割を果たしているため、水は真水。
それでも味は山の湧き水と違い、”海の水が石灰質に濾されたらこんな味だろうな”という味です。


セノーテは今のメリダの北、チクシュルーブという集落辺りに落ちました。
そのためユカタン半島の内陸部の村々にはセノーテを巡ってくれるガイドがいて、彼らに道案内を頼むと効率良く安全にセノーテ巡りを楽しむことができます。
しかも、この辺りのセノーテはカンクンに近い有名なセノーテと比べると、まだまだローカルな雰囲気が残っており、人も少なく値段も安いという。


そんなわけで、暑くて暑くてたまらないメリダからのセノーテ巡りに行ってきました。



セノーテへのアクセス



私たちが訪れた地域はクサマ(Cuzamá)という小さな集落の東にあるホムン(Homún)村。クレーターの淵も近く、狭い範囲にいくつもの綺麗なセノーテが点在しています。


クサマやホムンはメリダでは良く知られているので、メリダの街で”セノーテ巡りをしたいんです”と街の人に聞けば、バス停やタクシー、ツアーの案内をしてくれると思います。
車だとメリダからバリャドリッド方面へ向かう180号線を東に走って1時間ぐらいで着きます。


バスを使ってアクセスする場合は、メリダのNoresteというバス停からクサマ行きのバスが1日5便出ているようなのでそれを利用するとよさそうです。
時刻表は 7:45、9:15、10:45、12:30、14:30
1時間15分くらいで23ペソ。
バスよりコレクティーボの方が早くて安いという話も聞きました。


メリダの街からセノーテに向かってゆっくり運転していると、道の途中でセノーテの写真を手に持った若者が何人か客引きをしていたので、その中から大仁田厚似の誠実そうなお兄さんにガイドをお願いしました。
1日で5つのセノーテを案内してもらうコースで料金は200ペソ。


メキシコの水場はダイナミックでむちゃくちゃ面白い反面、急に深いところや激しいところもあって危ないので、地形をよく知っている人と一緒に遊ぶと心置きなく安心して遊べます。
大仁田さんがセノーテやマヤ文明のこと話してくれるのも嬉しかったですね。




Yaxbacaltun


大仁田さんを後部座席に乗せて、一つめのセノーテへ。
途中でライフジャケットを借りて、途中からはガタガタの未舗装の道を200mくらい走ると看板が出てきました。





聞いても読んでも発音できない名前でした。






同じ泉の中でも青や青緑と色が違って見えます。
水温もぬるめで気持ちよく、潜ると水中に光が帯のようにひらひら差し込んでいて幻想的でした。







San Antonio


1つ目のセノーテを出て、さっき通った未舗装の道を戻って道を渡るとすぐに別のセノーテが出てきました。









小さな穴から階段を下りていくと、




地底にセノーテが。
マヤの時代には結婚式や儀式に使われていたそうです。
このセノーテは洞窟になっていて、潜り進むと別の入り口に出る構造になっているため、スペイン人から水中を通って逃げたという話を聞きました。



長い年月をかけて鍾乳洞が育っています。
鍾乳洞の中のセノーテは神秘的な雰囲気ですが、子供連れの家族に人気で子供がたくさん泳いでいました。



Santa Rosa



続いて3つ目。これもすぐ近くです。
立て続けのセノーテに少し飽きてきましたがそれでも不思議な景色です。








ツアーの真ん中に訪れたせいか、あんまり印象に残っていません…。
この後、近くのレストランで昼食をとる間、水遊び用の靴を駐車場に干していたらごはんの間に無くなっていました。
田舎だしセノーテだしぼんやりと緩んでいましたが、そこらへんは気を抜きすぎないように注意したほうがよかったなと。






Tza Ujun Kat



この日4つ目のセノーテ。
靴がなくなって気落ちした状態で訪れたのですが、すぐに忘れさせてくれるなんとも
不思議な景色でした。










Pol Unic



そして最後に訪れたのはCabeza de hombreという名の薬草庭園の奥で沸いているセノーテ。 




ツアーの最初に私たちが、
「飲めるほど綺麗な水のセノーテはあるのか?」
という私たちの質問に対して、大仁田さんが自信満々で連れてきてくれたセノーテ。
正直美味しい水ではなかったけれど。水の色はこの日見た中で一番綺麗な淡い青緑でした。


どのセノーテも入場料は20〜25ペソ。
あれよあれよという間に不思議な景色が立て続けに出てくるのであっという間の1日でした。


2016年4月4日月曜日

教育のイノベーション

今、いちばん新しい教育のトレンドってなんだと思いますか?


日本では”基礎学力の低下”や”読書離れ”、”経済格差による教育格差”などが課題としてあげられています。
文部科学省がそれらの課題に対して、”教員の数を増やす”や”教育機会の均等化”、”少人数制のクラスで充実した指導を”といった対策を方針として打ち出しているのですが…


それってどうなのでしょう。何か根本的な部分が大きく抜けているように感じます。




メキシコはどうでしょうか?


メキシコに来て感じるのは、良くも悪くも日本の昭和の頃の雰囲気だということ。
教育の質や均等化は、先進国と比較するとまだまだ距離があることは否めませんが、その分地域のコミュニティや家族のコミュニティが強く残っています。
子供は親の手伝いをして働き、そのなかで金銭感覚を学んだり、そこらへんで走り回って遊んで怪我をして身体感覚を拡充させたりと、のびのびと楽しそうに過ごしています。




それでは、アメリカはどうなっているのでしょうか?


アメリカは日本と比べると、個人的な感覚としては10年以上(もっとかな?)先に進んでいます。
教育の形そのものにイノベーションが起こっています。


もちろん、教育というのは社会情勢や国民性、その国の歴史など、幾つもの要素が複雑に絡まり合っているので、一言でこれがいい、悪いとは言えません。


それでも私は現在のアメリカの教育を取り巻く環境に、魅力を、本質を、クオリティを、そして未来を感じます。


というわけで、現在のアメリカの教育に関わる界隈で起こっている事についてご紹介をしたいと思います。



EdTech(エドテック)


EdTech(エドテック)という造語をご存知でしょうか?
エドテックとは、EducationとTechnology(教育とテクノロジー)を掛け合わせた造語で、インターネットを効果的に使った学習方法を開発して提供するという、サンフランシスコはシリコンバレーで盛り上がっているスタートアップビジネス領域のことです。


具体的に行っているのは、学校の授業で使用するアプリケーションの開発、オンラインサービスによる学習機会の提供、学校のITインフラの最適化などなど。


教育とテクノロジーの掛け合わせは、日本の学校教育においてもICT教育という項目でもちろん重要視されてはいますが、アメリカのそれとは比較になならいほどの差があります。


この業界はあくまで営利目的のビジネスであるため、現在のサンフランシスコの大きなムーブメントであるスタートアップ企業の一分野として見られてしまうこともあるようですが、私はそうは思いません。


テクノロジーによって教育の質を変化させようとする人たちが、志と愛を持って発信している文化であると感じています。


サンフランシスコ在住の日本人プログラマーで、知的好奇心を非常にそそられるブログを書いている上杉さんという方がいます。
彼の職場は教育メディア企業の一つ。





上杉さんのブログを読んだり、EdTechのことを知ったりするうちに、私はプログラミングを学びたいと思いました。
10年後、20年後の教育現場において、プログラミング言語の基礎、構造を理解することは大きな付加価値となっていることが予想できたからです。


なかなか日本でガッツリ仕事しながらプログラミングを学ぶのは時間的にも精神的にも難しそうですが、私にとっては今がチャンスです。


インターネット上でプログラミングを自分で学べるサイトはたくさんあるのですが、どのサービスがいいか探している時に素晴らしいウェブサイトを見つけました。





Khan Academy(カーンアカデミー)


感銘を受けたのはKhan Academy(カーンアカデミー)。

日本語のWebsiteはこちら

カーンアカデミーは算数,数学,物理,科学,経済,金融,歴史,美術,…など,様々な科目を自分のペースで学ぶためのサイトです.もともとはサルマン・カーン(Salman Khan)が彼のいとこの家庭教師をすることからはじまり,それが彼の親戚,その友達へと広がり,今では100万人単位で世界中から学ぼうという人達に利用されています。(カーンアカデミー日本語版HPより)

もともとは創設者であるカーンさんが、離れたところに住んでいた従兄弟に数学を教えるためにYoutubeを通じて動画での家庭教師を試みたところ、それが世界中に大きな反響を呼び、社会的な必要性を感じたことが設立のきっかけだそうです。


詳しくはTedで語られているこちらの動画をどうぞ。
とても感動したので、この動画をより多くの人に見て欲しいと思い記事にしました。





この中でも触れられているのですが、動画での個人学習は、自閉症の子供たちにとっても非常に有効であると思われます。
視覚認識が得意な彼らが一番情報を整理して吸収できるのは、口頭での説明(音)よりも文字。そして文字よりも動画です。
当然その優先順位は障害のない子供たちにとっても変わりません。


また、学習動画のいいところは、コンテンツとして消費的でないところです。
理解するまで何度も何度も繰り返し見ることができるし、もしかしたら次の世代やその次の世代まで利用できるかもしれない。


実は私も以前、自閉症の子供たちのためにと思って、一度動画を制作してYoutubeにアップロードしたのですが全然見てもらえませんでした。。。
よかったら見てください。





この動画を作成した時は、「このまま何本もアップし続けて閲覧者を増やして、他の賛同してくれる人たちにも同様の動画を作成してもらって、インターネット上に”自閉所児のための自己学習チャンネル”を作って育てていこう!」と思っていたのですが、挫折しました。
動画の撮影、編集って大変なんですよね。


でも、カーンさんは動画を全て自分で作っているそうです。
その数なんと3000本以上。
熱量が違いますね。
刺激を受けたので細々と活動を続けていきたいと思いました。









アメリカの教育業界、面白いです。
日本では今までやってきた事を急に変える事は不可能です。
教育委員会があって、文部科学省があって、なんとか委員会があって。。。


でも、アメリカは変化します。
日本のシステムと比較すると、考えられないようなスピードで。
いいと思ったものにはどんどん投資がなされ、輪が広がっていきます。


日本の文部科学省は問題点を見つけるのは得意ですが、それをどう解決していくかという問題解決能力が圧倒的に低い気がします。
その能力が低い大人たちが、子供たちに向かって「様々な社会変化に適応できるような問題解決能力を高めましょう」と言っています。


ずれてますよね?



世界には色々な制約を超えて垣根を越えて、子供達のためにシステムを構築して活動している人たちがたくさんいます。


アメリカではビジネスと関連していますが、ビジネスの盛り上がりと教育が良い相互関係を生み出して先に進んでいます。


アメリカで起こっている教育のイノベーション、とても興味深いので引き続き追いかけていきたいと思います。