2016年4月4日月曜日

教育のイノベーション

今、いちばん新しい教育のトレンドってなんだと思いますか?


日本では”基礎学力の低下”や”読書離れ”、”経済格差による教育格差”などが課題としてあげられています。
文部科学省がそれらの課題に対して、”教員の数を増やす”や”教育機会の均等化”、”少人数制のクラスで充実した指導を”といった対策を方針として打ち出しているのですが…


それってどうなのでしょう。何か根本的な部分が大きく抜けているように感じます。




メキシコはどうでしょうか?


メキシコに来て感じるのは、良くも悪くも日本の昭和の頃の雰囲気だということ。
教育の質や均等化は、先進国と比較するとまだまだ距離があることは否めませんが、その分地域のコミュニティや家族のコミュニティが強く残っています。
子供は親の手伝いをして働き、そのなかで金銭感覚を学んだり、そこらへんで走り回って遊んで怪我をして身体感覚を拡充させたりと、のびのびと楽しそうに過ごしています。




それでは、アメリカはどうなっているのでしょうか?


アメリカは日本と比べると、個人的な感覚としては10年以上(もっとかな?)先に進んでいます。
教育の形そのものにイノベーションが起こっています。


もちろん、教育というのは社会情勢や国民性、その国の歴史など、幾つもの要素が複雑に絡まり合っているので、一言でこれがいい、悪いとは言えません。


それでも私は現在のアメリカの教育を取り巻く環境に、魅力を、本質を、クオリティを、そして未来を感じます。


というわけで、現在のアメリカの教育に関わる界隈で起こっている事についてご紹介をしたいと思います。



EdTech(エドテック)


EdTech(エドテック)という造語をご存知でしょうか?
エドテックとは、EducationとTechnology(教育とテクノロジー)を掛け合わせた造語で、インターネットを効果的に使った学習方法を開発して提供するという、サンフランシスコはシリコンバレーで盛り上がっているスタートアップビジネス領域のことです。


具体的に行っているのは、学校の授業で使用するアプリケーションの開発、オンラインサービスによる学習機会の提供、学校のITインフラの最適化などなど。


教育とテクノロジーの掛け合わせは、日本の学校教育においてもICT教育という項目でもちろん重要視されてはいますが、アメリカのそれとは比較になならいほどの差があります。


この業界はあくまで営利目的のビジネスであるため、現在のサンフランシスコの大きなムーブメントであるスタートアップ企業の一分野として見られてしまうこともあるようですが、私はそうは思いません。


テクノロジーによって教育の質を変化させようとする人たちが、志と愛を持って発信している文化であると感じています。


サンフランシスコ在住の日本人プログラマーで、知的好奇心を非常にそそられるブログを書いている上杉さんという方がいます。
彼の職場は教育メディア企業の一つ。





上杉さんのブログを読んだり、EdTechのことを知ったりするうちに、私はプログラミングを学びたいと思いました。
10年後、20年後の教育現場において、プログラミング言語の基礎、構造を理解することは大きな付加価値となっていることが予想できたからです。


なかなか日本でガッツリ仕事しながらプログラミングを学ぶのは時間的にも精神的にも難しそうですが、私にとっては今がチャンスです。


インターネット上でプログラミングを自分で学べるサイトはたくさんあるのですが、どのサービスがいいか探している時に素晴らしいウェブサイトを見つけました。





Khan Academy(カーンアカデミー)


感銘を受けたのはKhan Academy(カーンアカデミー)。

日本語のWebsiteはこちら

カーンアカデミーは算数,数学,物理,科学,経済,金融,歴史,美術,…など,様々な科目を自分のペースで学ぶためのサイトです.もともとはサルマン・カーン(Salman Khan)が彼のいとこの家庭教師をすることからはじまり,それが彼の親戚,その友達へと広がり,今では100万人単位で世界中から学ぼうという人達に利用されています。(カーンアカデミー日本語版HPより)

もともとは創設者であるカーンさんが、離れたところに住んでいた従兄弟に数学を教えるためにYoutubeを通じて動画での家庭教師を試みたところ、それが世界中に大きな反響を呼び、社会的な必要性を感じたことが設立のきっかけだそうです。


詳しくはTedで語られているこちらの動画をどうぞ。
とても感動したので、この動画をより多くの人に見て欲しいと思い記事にしました。





この中でも触れられているのですが、動画での個人学習は、自閉症の子供たちにとっても非常に有効であると思われます。
視覚認識が得意な彼らが一番情報を整理して吸収できるのは、口頭での説明(音)よりも文字。そして文字よりも動画です。
当然その優先順位は障害のない子供たちにとっても変わりません。


また、学習動画のいいところは、コンテンツとして消費的でないところです。
理解するまで何度も何度も繰り返し見ることができるし、もしかしたら次の世代やその次の世代まで利用できるかもしれない。


実は私も以前、自閉症の子供たちのためにと思って、一度動画を制作してYoutubeにアップロードしたのですが全然見てもらえませんでした。。。
よかったら見てください。





この動画を作成した時は、「このまま何本もアップし続けて閲覧者を増やして、他の賛同してくれる人たちにも同様の動画を作成してもらって、インターネット上に”自閉所児のための自己学習チャンネル”を作って育てていこう!」と思っていたのですが、挫折しました。
動画の撮影、編集って大変なんですよね。


でも、カーンさんは動画を全て自分で作っているそうです。
その数なんと3000本以上。
熱量が違いますね。
刺激を受けたので細々と活動を続けていきたいと思いました。









アメリカの教育業界、面白いです。
日本では今までやってきた事を急に変える事は不可能です。
教育委員会があって、文部科学省があって、なんとか委員会があって。。。


でも、アメリカは変化します。
日本のシステムと比較すると、考えられないようなスピードで。
いいと思ったものにはどんどん投資がなされ、輪が広がっていきます。


日本の文部科学省は問題点を見つけるのは得意ですが、それをどう解決していくかという問題解決能力が圧倒的に低い気がします。
その能力が低い大人たちが、子供たちに向かって「様々な社会変化に適応できるような問題解決能力を高めましょう」と言っています。


ずれてますよね?



世界には色々な制約を超えて垣根を越えて、子供達のためにシステムを構築して活動している人たちがたくさんいます。


アメリカではビジネスと関連していますが、ビジネスの盛り上がりと教育が良い相互関係を生み出して先に進んでいます。


アメリカで起こっている教育のイノベーション、とても興味深いので引き続き追いかけていきたいと思います。





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