2016年2月13日土曜日

グアナファトからいける、ちょっと微妙な源泉かけ流し温泉


Comanjilla温泉 


気になる看板


グアナファトから隣町のレオンに行く道の途中に、日本語で「ナチュラルスパのおもてなし」と書かれた大きな看板が出てくる。
以前から気にはなっていたその看板は、コマンヒージャという場所のホテルで、なんと敷地内に温泉が湧いているとのこと。


思っていたよりもずいぶん寒かったグアナファトの冬。
昼間は強烈な日差しで体感温度は少し上がるけど、日が暮れると一気に寒く感じる。
湯舟に浸かれるもんならそれはもう是非とも浸かりたい。


しかしながら、日本独特の入浴スタイル(裸)ができる場所をメキシコ、というよりも外国で見つけるのはなかなか難しい。
温泉が湧いていても、だいたい水着着用が必須のプール感覚の施設がほとんど。



日本を訪れたいというメキシコ人はとても多く、食事や文化にはみんな興味津々で目を輝かせながら嬉しそうに日本の話を聞いてくれるのだけど、温泉や銭湯をオススメすると、ほぼ全員が目をむいて驚き、強烈に恥ずかしがる。


「み、みんなで一緒に裸で入るの!?無理!それは無理!!」


と、みんな照れまくる。


暖かいお湯に裸で浸かってリラックスするの気持ちいいんだけどなあ…




以前にも、サンミゲルアジェンデとドローレスイダルゴの間にある温泉施設、”ラグーナ”を訪れたけど、そこはいかにもメキシコの温泉施設という感じで、ほぼ温水プール。
家族連れがたくさんきていて浮輪でぷかぷかしながらミチェラーダを飲む。みたいな。



まあそれはそれでいいんですけど、やっぱり寒い時は湯舟に足を伸ばして浸かり、体全体、そして足の先まであったまりたい。
水着ではなく裸で。



「ナチュラルスパのおもてなし」をしているホテルには、ジャグジーが部屋についていて日帰りでも利用できると聞いたので、裸で熱いお湯に入れることを期待してコマンヒージャへ向かった。




アクセス方法


グアナファトからコマンヒージャへのアクセスですが、まずレオン方向へ車で向かいます。
シラオを越え、空港を越えてから10分くらい走っていると、進行方向右側にコマンヒージャにつながる道が出てきます。


道路上の青看板でも何度か”Comanjilla”と出てくるので、見逃すことはないと思います。
看板を見て右にそれると、後はまっすぐ。分岐したところから10分くらいで行き止まりになり、そこがコマンヒージャです。





いざ温泉へ


看板を出していたのは、フランチャイズ経営のホテルミシオン。こちらでは割とよく見かけるホテルです。
早速受付で話を聞いてみると、確かにジャグジー付きの部屋を日帰り利用することができるのですが、料金は600ペソ。


うーん。思ってたより高い…。


それだけ払って満足できる温泉体験ができるのなら良いですが、そうでもなさそうだったのでやめておきました。








プールのエントランス


次に向かったのはホテルの隣にあるプール。
そこにはプールを上がった後にあったまって帰るためのバスタブがあると聞いたので、そちらに行くことにしました。
料金は90分の利用で135ペソ。


料金表。バスタブ利用は”ADULTO TINA"


オフシーズンなのでほとんど誰もいない施設の奥に進むと、中央奥に建物がでてきます。

TINAのある建物


建物の中にはバスタブのある個室がいくつもあって、蛇口を捻ると硫黄臭のする熱い湯が出てくる。


TINAの受付



なかなか湯が貯まらないのでビールを飲みながら待つこと20分。
ようやく湯舟に湯が貯まり、浸かることができました。


惜しい湯船

受付のセニョーラは、

「お湯だけだ注ぐと熱くて入れないから気をつけて!」

と、気にしてくれましたが我々日本人にとっては適温。
久しぶりの温泉に体が緩み、ほぐれます。








でも、かなり惜しいんだけど、なんか違う。
日本人にはもう少し足りない清潔感。


何故なら、湯舟が床より低い位置にあり、排水は湯舟の底にある栓を抜くしかない。
かけ流しをしようと思っても、制限時間内にはまず湯舟はいっぱいにならないし、仮に2セット(3時間)利用して湯を貯められたとしても、湯舟がいっぱいになって溢れる湯の流れていく先は床。
それはそのまま廊下と同じ床。



まあ仕方ないか…メキシコだし。
裸では入れるだけマシなのかな。


温度は十分熱いし、しっかりあったまることもできました。
まあまあの満足と、少しの無念さを胸にプールを後にした。

誰もいないプール











もう一つのコマンヒージャ


帰宅しようと駐車場を出たら、すぐに道の横でタコスを売っていたので脇見運転していると、その横に濡れた髪を梳かしているインディヘナのおばさんがいた。


おばさんもお風呂入ったのかな?
見かけなかったけど…


何気なく視線をそっちの方にむけていると、突然Miaが二度見をして振り返った。


「なんか、白濁した小川が流れてる!源泉があるんじゃない!?」



Miaの指差す方を見ると、確かにそれらしき(温泉らしき)色の小さな川が流れている。
もしかして、野湯があるのか????



野湯とは、自然に湧いたままの温泉のこと。


東北地方を旅していた時、私たちは山の中で源泉を探し湯だまりを見つけて入浴する野湯の魅力にはまっていた。


その時の経験から、もしかしたら温泉の近くには他にも源泉の湧いている場所があるかもしれないとこっそり期待していた。


急いで引き換えして白濁した小川を見てみると、もわもわと湯気が立ち上っていて、硫黄の匂いもする。
さらによく見ると、林の奥には人影も見える。


髪を梳かしていたおばさんに聞いてみるとやっぱり奥にも温泉があるとのこと!


「奥に進んで左側が女性、右側が男性よ。二人で入りたいのなら真ん中のエリアは家族風呂だからそこを使うといいわ」


これは見つけちゃった!とドキドキしながら林を進んでいくと、思っていたのと違う景色が広がっていた。

思ってたのと違う景色


結構ゴミが多い。野良犬もいる。
頭上にはなぜか有刺鉄線が幾重にも張られ、そこには大量の洗濯物が干されている。
まるでインドの洗濯村のようなカオスな景色。




そのインドな景色の奥に、温泉があった。


インドな景色の中にある温泉


建物があるわけではなく露天風呂状態になっていて、一応ビニールシートで屋根が作られている。
みんなそこで洗濯もしているし風呂にも入っている。


でもよく見ると、洗濯をしていい場所、石鹸を浸かっていい場所と、浴槽ごとに決まっている様子。おかげで湯船に浸かる場所の湯は綺麗に保たれている。


私達がいった家族用のエリアだけでも、浴槽は全部で10箇所くらいあり、グループ毎に貸しきれるシステム。
入る場所を決めて、セニョーラにお金を30ペソ払うと好きなだけ入っていていいそう。



源泉が湧いている場所から各浴槽に水路が伸びており、布で水路に蓋をして湯を入れたりせき止めたりしている。


メキシコスタイルだけど、ここは間違いなく源泉かけ流しだ!


お金を払って一つの浴槽を使わせてもらう。
周りを見渡すと外国人の姿はもちろんなく、メキシコ人の家族がのんびり湯につかっている。
裸ではなくムームーみたいな布を巻いて。


肝心の温泉は、温度も熱く、湯もとろとろ。


これは気持ちいい!


照明も勿論ないので、月明かりでの入浴。
暗くなったことでゴミも気にならないし、裸でも入れる。

結構広い湯船。10人くらい入れそう。



月を見上げると、サボテンのシルエットが目に入る。


おそらく、元来のコマンヒージャ温泉はこの場所だったんだろう。


周りの人に聞くと、ある日ホテルミシオンがやってきて、源泉の上流にホテルを建てたそう。
そのため、地元民との軋轢もあったそうだ。


そりゃそうですよね。
温泉は地域の大切な資源だ。





まとめ


つまり結局のところ、現在コマンヒージャの温泉を裸で味わうのなら3つの方法がある。

・ホテルミシオンに宿泊(もしくは日帰り)して部屋のジャグジーで
・ホテルの横にあるプールのバスタブで
・自然そのまま(むき出し)の露天風呂で



この3つがピッタリ隣接していて、同じお湯が全く違う金額で提供されているのがいかにもメキシコらしいなと感じました。








風呂を上がるとタコスを売っていたおばさんの旦那さんに声をかけられた。


「どうだ、いい湯だっただろう!」

『いやー最高でした。体の先まであったまることができました。ありがとうございました。』


そう応えると、旦那さんは嬉しそうににこにこしていました。


最後にたどり着いた本当のコマンヒージャ温泉は、地元の人に愛され、大切にされている生活の場所でした。




その後、何度かリピートして、源泉で温泉卵も作りました!
美味でした!



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