小さな漁村の面影はずいぶん薄くなりましたが、地元の人たちは昔と変わらず魚釣りをして楽しんでいます。
夕方になると海や河や湖に家族が集まり、女性陣がお菓子を食べたりおしゃべりしたりしている横で、お父さんが子供と糸を垂らしている姿をよく見かけます。
こっちの人は釣りをするといってもほとんど釣り竿をつかいません。
糸と釣り針だけか、ペットボトルに糸を巻き付けただけという、とてもシンプルな道具で魚釣りをしています。
ペットボトルスタイルで魚を釣れるようになれば、糸と針さえあればどこでも気軽に釣りができる!と考えた私たち。
友達のフランシスコに作り方を教えてもらい、ペットボトルで仕掛けを作ってみました。
作り方は釣り糸の先に重りを結びつけ、そこから少し離した位置に釣り針を結びつけます。
糸の反対側はペットボトルに巻き付けるだけ。
完成。
糸の反対側はペットボトルに巻き付けるだけ。
完成。
5分もかかりません。
早速、釣りに詳しいフランシスコのお父さんにどこで魚が釣れるか聞くと、このあたりではコスメル島が釣れるぞと。
カンクンでは大した魚は釣れないぞと。
コスメルまで行くのもなかなか遠いので、まずはカンクンの近くのポイントで釣ってみることにしました。
【リオ・二ズック/Rio
Nizuc】
カンクン・ホテルゾーンの南(空港)側、ラグーン(湖)とカリブ海がつながっている場所がリオ・二ズックです。
空港からホテルゾーンに入ると最初に橋がありますが、その橋の下あたりがポイントになっていて、日によっては超絶に美しいグリーンとブルーの水の色をしています。
橋の下から海にかけては、一応公園のようになっていて駐車場もあります。
仕事が終わって、フランシスコと一緒に夜暗くなってから釣りを始めました。
私達以外にも結構人がいて、泳いでる子供もいれば家族で夕涼みをしている人もいます。
ペットボトルで釣り糸を垂らしている人もいましたが、何組かのグループは投げ網を使った漁をしています。
網の投げ方がうまい人もいればへたな人もいて、プロの漁師ではなさそうです。
橋の両サイドからは網が投げ入れられ、かたや橋の下では子供が飛び込みばしゃばしゃ泳いでいる。
こんな状況で果たして魚は釣れるのか?
魚、逃げるんじゃねーの?
……釣れませんでした。
2時間ぐらいやってみましたがこれといったあたりもなく、ペットボトルから糸を投げる作業もあまり楽しくありません。
投げ網の人たちはたまに魚をゲットしてましたが、わずかなもんです。
イワシっぽいのが獲れてました。
イワシっぽいのが獲れてました。
ボウズだった帰り道 は、フランシスコの釣りにまつわる思い出話を聞きながら帰りました。
イグアナを捕まえてその肉をエサにして魚を釣って、コンビニの横で油で揚げて食べたそうです。
うげー。野蛮。
【イスラ・ブランカ/Isla
Blanca】
続いてのポイントはイスラ・ブランカ。
残念ながらこの1年の間にみるみる訪れる人が増えてきて、秘境感はかなり薄れてしまいました。
それでもまだ浜辺で焼き肉やキャンプもできるので、いつでも強風ですがお気に入りの場所です。
カリブ海の反対側のラグーンサイドでは、時々釣りマニアの方がボートで釣りを楽しまれています。
ソルトウォーターフライフィッシングのグランドスラム、ボーンフィッシュ、ターポン、パーミットが釣れるそうです。
釣りの専門用語(横文字カタカナ)が難しすぎて、カタカナが道具なのか場所なのか魚なのか分かりません。
その世界の人たちにとってはイスラブランカやシアンカーンはとても貴重な魚釣りが楽しめるようです。
しかし、私たちがやりたいことはそういう事ではありません。
素人として、簡単に、お金をかけず、食べられる魚を釣りたいだけです。
晩御飯のオカズを釣りたいだけなんです。
以前、イスラ・ブランカでアメリカ人が釣り竿を使って釣りをしている姿を見かけていたので、いけるんじゃないかとペットボトルを持参してみました。
ここのビーチは、波打ち際から少し沖に向かっていくと足はすぐにつかなくなるのですが、構造としては遠浅のビーチ。
手前には魚はいなさそうなので、できるだけ遠くに釣り針を投げ入れたい。
海の中に腰まで入り、そこからペットボトルを振りました。
海の中に腰まで入り、そこからペットボトルを振りました。
いざ始めてみると、波・風が強く、思ったように投げられません。
雄大な大海原に向かってペットボトルを振っていると、途方もなく無駄なことをしている気持ちになってきました。
ふと横を見ると、Miaと友人女性が同じように一生懸命ペットボトルを振っています。
大自然の中の日本人3人。
カリブ海に向かって一心不乱にペットボトルを振り続けること30分。
……釣れませんでした。
ピクリとも反応なし。
帰り道にはとびきり綺麗な夕日が見えました。
悲しい時や辛い時にはいつも狙ったように絶景を見せてくれる場所です。
【エル・エンバルカデロ/El
Embarcadero】
2度にわたる挫折の後、Miaが誕生日に釣り竿を買ってくれました。
これは…明らかに釣れそうな雰囲気!
一気にモチベーションが上がり、ペットボトルセットは早速針と糸に分解。
現場で、”道具だけはいいの持ってるけど使い方が分からないやつ”という恥をかかないために、一 度家で組み立てる練習。
簡単に思えましたがあっさり躓きました。
リールの構造が…
そこで役に立ったのがこの動画。
完全な初心者にもわかるように丁寧に優しく教えてくれます。
初心者の方はぜひこの高橋哲哉さんの動画で予習してください。
仕掛けの付け方から根がかりした時の外し方、万が一外せない場合、極力海にごみを残さないようにする外し方など教えてくれます。
意味不明の横文字もほとんど出てきません。
初心者に、そして自然に対する優しさにあふれています。
初心者に、そして自然に対する優しさにあふれています。
高橋哲哉先生のおかげで竿と仕掛けのセッティングができるようになったので、この日向かったポイントはエル・エンバルカデロ。
カンクンのダウンタウンからホテルゾーンに入って最初の橋。
カンクンタワーがあり、パイレーツショーの船が停泊している場所です。
橋の上からも下からもペットボトルスタイルで釣りをしている人がいます。
彼らに混ざって、ここでついに釣り竿デビューです。
“ペットボトルスタイルで魚を釣れるようになれば、糸と針さえあればどこでも気軽に釣りができる!…“
そんな最初の思いはすっかり無くなっています。
釣りたい!釣って、食べたい!ペットボトルじゃ釣れない!
満を持して竿を振ると、綺麗な放物線を描いて仕掛けが着水。
すると、すぐにあたりが!
魚がエサを食べているのが感じられます!
これはいける。これは釣れる。やっぱり釣り竿が大切なんだ!三度目の正直だ!
……と、いうところで根がかり。
うんともすんとも動きません。
高橋先生に教えてもらった方法で外そうとしますが、外せません。
なんとか教えてもらった最終手段で引き切りました。
三度目のボウズ。。。
【プエルトモレロス/Puerto
Morelos】
次に選んだポイントは、カンクンとプラヤデルカルメンの間の漁村、プエルトモレロス。
選んだ理由は、村の中心にある公園から海に突き出た桟橋で、釣っている人がいたのを前に見たことがあったから。
桟橋から海をのぞき込むと、ゆらゆらとたくさんの魚が泳いでいるのが見えていました。
地元の人は、なんとペットボトルでカツオを釣っていました。
思えばあの光景がこっちで釣りを始めたきっかけになっていたような気がします。
思えばあの光景がこっちで釣りを始めたきっかけになっていたような気がします。
さすがにもうボウズは御免なので、もう一度魚釣りについて詳しく調べてみました。
すると、大潮の時が一番釣れるらしいと。
すると、大潮の時が一番釣れるらしいと。
大潮…?
干潮とか満潮とか、そういう感じ?
というぐらいの知識でしたが、なんせ大潮の時期が釣れることはまちがいないようです。
さらに、大潮の時間帯が分かるサイトを発見。
場所を指定すると、この日の何時が一番魚が釣れますよと教えてくれます。
凄いですねーインターネット。
これで道具もタイミングもバッチリ。
もはや釣れない理由はありません。
カンクンからプエルトモレロスまでは40分弱。
車を止めて、道具の準備をしつつ、はやる気持ちを抑えながらお弁当を食べ、大潮の時間を待ちます。
そして、ピーク予想の1時間ほど前から釣り開始。
桟橋から竿を振ります。
すると、すぐに今までにないあたりが!
これは…、間違いない!
今度こそ!!
……釣れました。
2時間ぐらいで18㎝の可愛いアジが2匹と、イワシみたいなのが1匹釣れました。
いやー最高ですね。
アジ。
こっちでは売ってないんですよね。アジ。
青魚食べられるの嬉しいです。
プエルトモレロスの桟橋はほかにも釣りを楽しんでいる人たちがいますが、みんな程よくゆるくていい感じです。
エサの付け方を教えてもらったり、魚が飲み込んだ釣り針を外してもらったり、エサを付けるときにライトで照らしてもらったり…。
面倒見のいい地元の人に助けてもらいまくりながら、楽しく釣りができました。
カンクン近辺はプロから素人まで(マグロからイワシまで)様々な釣りを楽しめる場所です。
本格的にトローリングしたりボートを出したりするのではなく、気軽に素人がちょっと陸から釣ってみたいのなら、断然プエルトモレロスがお勧めです。
その後も釣れています。(アジが)
底が砂地なので根がかりもしないし、釣り場所の雰囲気も和やかです。
困ったら誰かが教えてくれるし、厳しいプロもいません。
サビキの仕掛けぐらい針を小さくすればもっと釣れそうな気がします。
ローカルの人曰く、プランクトンが豊富で魚が多い場所らしいです。
大事に持ち帰ったアジはアジフライにして美味しくいただきました。
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