2016年3月15日火曜日

オアハカのサイケデリックな奇景


Hierve el Agua







メキシコ国内でも指折りの人気観光地、オアハカ。


人口の半数近くの40%が先住民族で構成されているこのエリアでは、奥深い多種多様な文化が今もなお、形を変えながら現在進行形で残っている。


そして、ご飯がとても美味しい。
どこで何を食べても平均値が高いという。
しかも、地元の人は「安くてうまい」に誇りを持っている文化なので、個人的にはそこがとても好きです。







私は今から10年前にメキシコ、グアテマラを旅した経験があり、以前の旅でもオアハカは訪れていました。
しかし、10年経ってから再度訪れたオアハカでは、以前と全く別の印象を受けました。




というのも、以前の私が強い関心を持っていたのは、もっぱら変性意識体験。
普段と違う意識になる状態が、とにかく興味深かったんです。






オアハカの周りには、キノコを使ったセレモニーで世界的にも有名になったシャーマン、マリア・サビーナの住んでいた村があり、またマジックマッシュルームを村の特産物として栽培している村もありました。


当時は山から山へ、キノコを追いかけ、キノコを伝って旅をしていました。
それはそれはミステリアスかつエキサイティングな忘れられないトリップで、今の自分に繋がる気づきもたくさんありました。




そして、10年後。
今の自分が心を惹かれる対象はキノコや変性意識ではなく、自然の作り出す景色やそこに住む人々、オーガニックな染料を使った織物など、遥か昔から続いている職人の手仕事による工芸品に。


年月の分だけ興味関心の対象が大きく変化しました。


目に入る景色は同じはずなんだけど、意識が向いている対象が変わっているためか、その世界は全く別の世界として認識されました。






そんなわけで、今回は以前見落としていたオアハカのまた別の魅力に触れることに。


訪れた場所はオアハカ近郊にある、ミトラ遺跡のさらに奥。


乾いた山の中に長い時間をかけて石化した滝があり、その滝の上には石灰棚の炭酸水のプールがあるという奇景・イエルベ・エル・アグアという場所です。


直訳すると”沸騰した水”になるので温泉なのかと期待していましたが、源泉の温度は26度ということで、水です。
炭酸泉のため、ぶくぶくと泡を立てて湧き上がる様からそう呼ばれるようになったそう。




街からのアクセスですが、イエルベエルアグアはオアハカ中心部から車で66km(1時間半ぐらい)東南東の方向に進んだ山の中にあります。
遺跡のあるミトラの町から16km(30分くらい)なので、まずはミトラを目指し、遺跡観光のついでに足を延ばすコースがオススメです。



ミトラから現地までの道の途中には、住人が手作りの踏切を作っていて、
「通行料10ペソちょうだい。」
と要求していましたが、夕方帰る頃にはもう誰もいませんでした。




少し釈然としない思いを抱きながら小さな集落を超えていくと、少し開けた見晴らしのいい場所に到着。
途中で幾つか道案内の看板もあるので自力で訪れても迷うことはないでしょう。



車を止めて奥へ進んでいくと、早速石灰棚のプールが現れます。







源泉が確かにぶくぶくと湧いています。








硫黄や鉄の匂いもして、ミネラルが豊富なのが伝わってきますが、湧き水のように美味しく飲める雰囲気ではありません。








山の上なので日差しは強烈ですが、風が強く、少し肌寒いくらい。
これで温泉なら絶景露天風呂ですが、水温は26度。








Miaは炭酸泉なのでもしかして炭酸美容効果があるかも!と期待していましたが、この湧き水は流れていく水が石化するほどに石灰成分が強いため、しばらく水に入っていると肌もガサガサしてきます。







肌が強い欧米人は気にせず絶景のプールを楽しんでいましたが、私たちはお弁当を食べながら、景色を楽しむことにしました。







快適な空間ではないですが、それでもその景色は充分に素晴らしく、心を奪われます。


さらにこの場所から下に降りていくと、下から石化した滝を見上げることもできますが、私たちはここで満足したので行きませんでした。







ミトラの遺跡のモザイク模様を見ていると、古代の人々のインスピレーションを間近に、直接的に感じられてサイケデリックな気持ちになりましたが、その時と同じような感覚になりました。



キノコを食べなくても、オアハカの自然や遺跡は十分に意識を変容させてくれる力があるんだなあと、穏やかな気持ちで景色を堪能しました。







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