2015年12月4日金曜日

バンクーバーの源泉掛け流し温泉

Skookumchuck Hot spring (スクッカムチャック ホットスプリング)

バンクーバーの源泉掛け流し温泉の紹介です。

北東北・北海道を旅した後に訪れたカナダ・バンクーバー。
訪れる前に読んでいた雑誌”スペクテーター”の情報で温泉があることを知りました。
しかも、海外にしては珍しく、水着を着て入るプールタイプのものではなく、湯船があって裸で入れる源泉掛け流しとのこと。

しかもその温泉は深い森の中にあり、ファースト・ネイション(カナダの先住民族)の人々が集い、他部族間で共有しているスペシャルな場所なんだとか。

温泉や湧き水を探して人里離れた奥地へ行くと、そこは大抵その土地の先住民族が見つけた場所であったり、伝承が残っていたりします。
北海道ではアイヌ民族が多くの温泉地を発見していたし、中南米においてもマヤ民族がセノーテと呼ばれる湧き水のある地域に文明を形成しています。
水と人間の長くて深い関係を感じます。


アクセスはバンクーバーからは車で行くしか方法は無いようなので、現地在住の友人カップルに連れて行ってもらいました。

街を出て、ウィスラー方面に99号線を北上していきます。
もし湧き水があれば汲みたいと、友人カップルにリクエストしていたので、井戸があるキャンプ場に途中で寄ってもらいました。

ポンプでくみ上げる。敷地内に水汲み場がいくつかある。

正確な場所を忘れてしまったのですが、バンクーバーとウィスラーの間で、バンクーバーから20分くらいだったと思います。

早速井戸水をいただきます。

うん。ウマイ!

特別美味しいわけではないものの、フレッシュな水を飲むと気持ちが軽くなります。キャンプ場も適度に整備されていて、自然が大切にされているいい森でした。

そのあとも北上を続け、ウィスラーを超えると右手に川のような湖、リロオエット湖が現れます。
99号線は川沿いから離れるように、進行方向でいうと左のほうに道がつながっているのですが、右折するようにオフロードの湖沿いを進んでいきます。


脇道の入り口。ここからダートが続く。



この看板が目印。目指すはここから48km先。

看板を確認して目的地である「Skookumchuck(スクッカムチャック)Hot spring」へ車を走らせます。
これより先にはもちろんお店もないので、事前に食料や飲み物を買い出ししておく必要があります。
この時点でバンクーバーを出発してすでに3時間。秘湯の予感に胸が高鳴ります。

そこからさらにダートを48km...。

連れて行ってくれた友人は釣り好きなので、道中の川や湖を見るたびに何が釣れるか教えてくれました。
ハードコアを聞きながら(釣り好きなひとになぜか多い)、1時間以上同じ景色の中を進んでいきました。

気がつくといつの間にか森の中に入っており、ついに到着。
途中水を汲んだり買いだしでスーパーに寄ったりしたので、トータルで4時間位かかりました。


到着。入り口のゲート。

ついに到着しました。
街から遠く離れた深い森です。
この場所はキャンプ場にもなっているようで、入り口付近には車を止めるスペースやテーブルなどが設置されています。

ゲートに掲げられている横断幕にはこの場所がファースト・ネーションにとってどういう場所なのか簡単に記されています。

それによると、この場所では自然からスピリチュアルなメッセージを受け取ったり、またメッセージを受け取る練習をするような場所だったそうです。
多くの先住民族の人々は厳しい環境下で生きてきた結果、自然に対して畏敬の念を強く持っていたと想像できます。

今の私たちとは世界の見え方が全く違っていたのは当然ですが、地面から程よく気持ちのいいお湯が沸いているなんて、奇跡の場所だったはず。

そんな遥か昔の人々と、今の自分の見える世界は違っていても、温泉に入ってほっこりする気持ちは同じようなもんだと考えると、温泉ってすごい!と思います。
猿や熊も好きですしね。


そんな壮大な古代のロマンを感じながら、いざ入浴です。

手前の湯船。一応シャワーもある。


湯船は全部で5個くらいあります。グループごとに入れるように屋根があったり、塀があったりして軽く区切られています。脱衣スペースには服を掛けるフックなどもありました。

先客は一人だけいて、ゆっくり読書しながら温泉を楽しんでいました。
にっこり笑って挨拶を交わし、私たちも念願の温泉に浸かります。

4時間のドライブで凝り固まった体を(運転はしてない)、ゆっくりとほぐしていきます。
湯温はぬるめで少しとろみがあり、長風呂向きです。

森の中にある無料の厳選掛け流し。
なかなか遠かった分、達成感と満足感を十分に感じながらリラックスできました。



屋根もあり、適度に他の湯船と距離がある。

そのまま寝てしまいそうな気持ちいい湯温なのですが、蚊が多かったです。
私たちが訪れたのは6月。季節的なものなのか、通年を通してそういう場所なのか…

4時間運転を頑張ってくれた友人が蚊に吸われやすい体質で、蚊の群れに襲われていました。
あんなにがんばって運転してくれたのに、その上…
なんだか申し訳なかったですが、どうすることもできず見守っていました。私たちの分まで蚊を引き寄せてくれていて、複雑な気持ちでなんどもお礼を言いました。



この近くではやらないでね。のサイン。

日本の温泉のように芯から温まったり、肌がツルツルになったりといった効能は弱めでしたが、自然の中で 古代の時に思いを馳せながら湯に浸かるのはよい経験でした。

帰り道は再びハードコアを聞きながらぐっすり寝ていましまいました。
本当にありがとう!


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