長野県、南信州に大鹿村という素敵な村があります。
自然は激しく、住んでいる人々は魅力的です。
そこで生まれ育ったHさんは、数年前に友人達と協力して、制作期間1年半でログハウスを建てられ、そこに住まれています。
山を背に家があり、庭、というにはあまりにも広いスペースですが、そのなだらかな傾斜のスペースを田畑にして美味しい野菜やお米を育ててらっしゃいます。
人生のほとんどの時間を自然と共生しながら生活されているので、遊びに行くと山の事、植物の事、物を作る事など、たくさんの知識を伝えてくださいます。
どの分野の知識も大変興味深く、家の作り方、土の作り方、山菜の見分け方など、知りたい事は山ほどある私たちでしたが、今回訪れたときには水の引き方を教えてくださいました。
ここでは沢の水を生活用水として使用されています。美味しい水です。
沢の水は鹿の糞による細菌や、上流に動物の死骸があったり、温泉が近い場所だと酸性の水だったりと、素人には安全かどうかの判断が難しいところがありますが、地域の人が昔から飲んでる沢の水は問題なく飲めると思います。
まず、取水口ですが、家の水道の位置より高い場所から取水します。当然ですが、水は高いところから、低いところへと流れていきます。しかし都会で育った私たちは、入り組んだ山の高低差が全体としてつかめません。順に水路を辿って行って初めて理解できました。
水は黒いパイプ(黒パイ)で引いていきます。
取水口。堰堤(えんてい)がろ過装置になっています。 |
黒パイを突っ込んで石で固定 |
堰堤(砂防ダム)に堆積した土砂が天然のろ過装置となっています。
取水口から水道までの間に水タンクを経由させていますが、これは水量の安定化ためです。ここでもう一度砂や石などを使って再度ろ過してもよいそうです。
タンクを経由します。 |
タンクでろ過した水を、地形に合わせて黒パイで運んでいきます。
このようにして、家まで水を運んでいます。仕組み自体はシンプルですが、地形に合わせたパイプのコース取り、木、石の使い方などよく工夫されています。
同じ条件の環境であれば、自分達でもできそうです!
添え木をして川を越え、家へ。 |
滞在最終日、Hさんが「畑を少し狭くする」とのことで、山側の斜面に常緑針葉樹のトウヒ(唐檜)を60本、一緒に植えました。
長ければ700年ほど生きる木だそうです。
未来の自然のために、苗木を買ってきて、土を起こして、木を植える。
当たり前のように淡々と行動されている姿には感じるものがありました。
いつか、ここも森の一部になる。 |
Hさんと未来の話しをする時、主語が「生きとし生けるものが…」とよくおっしゃいます。
人間だけの未来を案ずるのではなく、植物、動物、山、などすべてに対して同じ気持ちで調和を保つことが大切なんだよと、話してくださいます。
植えた木が森になって、花が咲いて動物が住んでくれたら…想像すると楽しみです!
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