2017年8月26日土曜日

メキシコで楽しむ発酵食品



まだ日本に暮らしていたころ、メキシコで味噌を売って生計を立てる!というようなことを一瞬考えていたことがありました。
久しぶりに日本に帰った時、地元の友達に「味噌、売れてんのけ?」と聞かれてそのことを思い出しました。


あ、そんなこと言っていたなと。
味噌を売る計画はすっかり忘れており、いまのところメキシコで味噌を売ったことは一度もありません。


実際のところ、メキシコでも少し足を延ばせば味噌は手に入るのですが、麹が手に入らないので味噌屋さんは小商いには向いてませんね。




五か月目の味噌





【手前味噌をかびさせないコツ】



今のところ味噌屋さんにはなっていませんが、手前味噌は作っています。
麹は日本から送ってもらったり、メキシコに来る人に頼んで持ってきてもらったりして手に入れています。


以前住んでいたグアナファトでつけた味噌は、メキシコ横断の旅中も車に積んでカンクンまで持ってきました。
私たちが旅をしていた間にも、発酵は続いていたのです。


灼熱のビーチ・シポリテや、肌寒い山地・サンクリストバルなど、気候の変化はかなり激しかったはずですが、特に悪くなるようなこともありませんでした。




カンクンは年中高温多湿な場所ですがですが、味噌は仕込めます。
最近は表面のカビも全く生えなくなりました。


カビを生やさないコツは、味噌を容器に詰めた後、表面にさっと塩を振ることです。
表面の塩がカビの繁殖を防いでくれます。
容器の煮沸やアルコール消毒をそこまで完璧にしなくても、しっかり塩を振っておけばカビの発生はかなり抑えることができます。





味噌をかびさせないコツ。それは表面の塩です。


後はまあまあ適当でもほぼほぼ美味しくできます。




容器の底にたまり。



豆は大豆、ひよこ豆、フリホーレス(インゲン)といろいろな豆で試しましたがなんでも大丈夫です。
白いんげんでも黒いんげんでもいけます。


手前味噌なら大豆と麹と塩の分量も適当でいけます。
大豆と麹はほぼ同じ、気持ち麹が多いくらい。
塩はその半分で大丈夫。


200:250:100(大豆:麹:塩)
200:200:100(大豆:麹:塩) どっちでもいいです。


水も塩もこだわればそれなりにいいものができるのかもしれませんが、いつものガラフォンの水とその辺で売ってる塩でも美味しくできます。



2カ月目の味噌。まだまだです。























【はちみつのお酒、ミード】


時間をかけて少しずつ風味が変化していく発酵の過程を楽しめるようになると、他の発酵食品にも興味が出てきました。


そこで次にやってみたのはミード(はちみつ酒)。
ユカタンははちみつの産地なので、気軽に美味しいはちみつがどこでも買えます。


作り方はとても簡単。
はちみつと水にドライイーストを少量混ぜて放置するだけ。


分量ははちみつ1に対して水が3ぐらい。(100ml:300mlとか)
ドライイーストは小さじ1杯ぐらい。


注意点は仕込む容器の密閉がしっかりしすぎていると、爆発してしまいます。
少し空気が通るようにしておきましょう。
香りづけにスパイス(クローブやシナモンなど)やショウガを加えても美味しいかもしれません。


加熱殺菌消毒されていない生のはちみつなら酵母が生きているのでドライイーストは必要ありません。
常温で放置しておくと、発酵してアルコールになります。


うちは常温で放置しておくと一瞬でアリが来ます。
普通の食べ物でもアリが来るので、はちみつを放置しておくなんてもっての他。
アリから守るために冷蔵庫で作る必要があったので、ドライイーストを使いました。




5日目のミード。もう美味しい。



発酵中はシュワシュワと泡立つ音が小さく聞こえてきます。
音が聞こえなくなったら飲み頃だそうですが、途中で飲んでもすでに美味しいです。
大体1週間から10日くらいで出来上がり。


少しオリが残るので、フィルターや布で濾すと澄んだミードの出来上がり。
ちなみに私はめんどくさいので濾さずにそのまま飲んでいます。


少し微炭酸で、ほんのり甘くておいしいお酒。
レモンを絞ったり炭酸で割っても美味しいですよ。
































【パイナップル酢/VINAGRE DE PIÑA

メキシコにももちろん発酵カルチャーがあります。
パイナップルを発酵させて酢を作る文化があるようです。


作り方は下記のような手順。


材料:パイナップルの皮(1個分)、円錐形の黒砂糖500Piloncillo)、水2ℓ

①パイナップルの皮をむいて、砂糖、水を加えて砂糖が溶けるまで適当に混ぜる
②常温日陰で45週間発酵させる
③液体が濁り、徐々に澄んでくるので頃合いを見てコーヒーフィルターなどで濾す



面白そうですが、みそやミードに比べて酢作りのモチベーションが上がりません。
酢、買うと安いですからね。
機会があれば作ってみたいと思います。



















【メキシコと発酵】



発酵は言うなればものすごくゆっくりとした調理。
味噌やはちみつの世界で麹や酵母が働き、少しずつ変化が起こって美味しくなっていきます。
大体の発酵食品は、コツさえつかめば適当にセッティングしてもできるところも気に入ってます。


普段の生活とまた別の時間軸が身近にできることになるのですが、これが不思議と居心地がよい。
植物を育てることにも似た、生き物の変化を感じられます。


娯楽や刺激や情報の少ない、今の生活だから気づけた喜び。
メキシコの暮らしに合ってるんじゃないかと思います。


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