縄文時代は狩猟採取を中心とした生活様式を続けていたそうですが、そのDNAはまだ私たちに残っているのでしょうか。
自然の中から見つけて摘んで食べる。私の最初の記憶で残っているのはピーピー豆(カラスノエンドウ)です。生で食べたので、美味しくなかったですね。ただ「豆」という名前だけを信じて食べていました。
ツツジの花の蜜を吸ったり、その辺に生えてる柑橘系の果物を取って食べたり、美味しいからではなく、好奇心から色々食べてみた記憶があります。
そんな風に本能的に採取を楽しめる時期はすぐに終わりました。しかし、嬉しいことにまたその感覚を味わえる状態に戻ってくることができました。知識を持ってさえいれば、日本では美味しい山菜・野草をたくさん採取することができます。
きのこ採取も同じなのですが、興味はあるけど食べて体調を崩したり、間違えて違うものを食べてしまうのが怖くて、なかなか一口目に至らないこともあるかと思います。
しかし、山菜は多くの愛好家が楽しみにしているので、群生している辺りや、これかな?と思った植物の近くには、間違いなくそれを目当てに来ている人がいます。
私たちもいろんなところで山菜を採取して楽しむことができましたが、大体どこもその界隈での最年少です。採取のタイミングや方法、正しく見分けることができているか、わからないことは先輩方が優しく教えてくださるので聞くと間違いないでしょう。
山菜の王様と呼ばれている(その界隈だけで)"タラの芽"も取り方にマナーがあったりします。一番上の先端の芽は"太郎っぺ"、その下から生えてくる脇芽は"二郎っぺ"と呼ばれていて、環境保護のため、採取して良いのは太郎っぺだけと言われています。
山の中でおじいさんに「太郎っぺだけだぞ!」とか言われたら、なんだか嬉しい楽しい気分になりそうですね。
どの山菜・野草もにも言えることですが、何度か収穫するとだんだん植生や、どのくらいの量を採取しても負担がないか、というのことがわかってくると思います。
目が覚えると山を見る目が変わってきて、以前は目にも止まらなかった地味な山道や畔が宝の山に見えてきます。
そんな山菜の中でも最も見分けやすく見つけやすいのがフキです。
蕾はフキノトウ(3〜5月)、大きくなるとフキです(4〜6月)。
独特の良い香りがあるので、間違うこともないと思います。
つぼみ。やや開き気味ですが美味しく食べられます。 |
雪解けすると顔を出します |
沢や道沿い、少し湿った場所に群生していて、ツクシが出ているような場所にはほぼ出ています。
フキノトウは天ぷらにしたり、細かく刻んで味噌と絡めたりすると香りも残り、美味しいです。フキノトウ味噌は保存食にもなり、白ご飯(おにぎりが特におすすめ)にもお酒のアテにも最高です。
春先、茶色い落ち葉が積もっているような場所に鮮やかな黄緑色のフキノトウが出ているとぴかぴか光っているようです。残雪の中のフキノトウもピカピカです。一度認識すると、その後はすぐに見つけることができると思います。
大きくなったフキ |
大きくなったフキは茎の部分を食べます。一度下茹でしてアクを抜き、筋を取って食べます。煮物、炒め物と野菜のように食べることができます。フキの良い香りは健在で、塩などに漬け込むと長期保存も可能です。佃煮にすると"きゃらぶき"ですね。
今年の春は北海道にいたのですが、春の北海道は野菜が高く、フキに大変助けられました。本州でも昔、冬に野菜がない時期には、重宝されたそうです。
アイヌの伝承に出てくる妖精コロポックルもフキの下に住んでいたと言われていて、昔から人間にの縁のある山菜のようです。
蕾から茎まで食べられて、保存もできて見つけやすい、みんなに優しいフキです。
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